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3月31日

更新日:2022年6月6日

どこから話せばいいだろうか。それは2018年だった。映画「あそびのレンズ」という子育てと外遊びの映画プロジェクトが始動し、私は制作と出演とアニメを担当することになった。その撮影の中、自分がお母さん役としてちゃんと存在できるのかが終始課題だった。オーディションでも子供がいるという設定の役をやることが増え、その時は単純に子供と関わりたい一心で民間学童でのアルバイトを始めた。

…想像を絶する大変さだった。その仕事を始めてから1年間はノイローゼのように心も体力も奪われていった。1日に見る子供の数は40人。その中で、小学校の宿題や学童が行なっている塾の先生の仕事、子供の送り迎え。親御さんに1日のそれぞれのお子さんのお話をすること。あっという間に1日が過ぎる生活だった。子供ってかわいいもんだと思っていたけど、当時は子供のことが嫌いになりそうなほど生意気だったし、私のやりたいことと会社の仕組みの中でやれることが矛盾していたり、いろんな小さな矛盾が見えすぎてずっと混乱していたりした。そんな中で学童が手掛ける様々な授業の先生を受け持つことになり、私が受け持ったのはアート、そろばん、英語、国語と算数だった。その中でアートはカリキュラムの作成もまかされるようになり、しばらくはその運営と子供の面倒をみることとの両立に時間を費やした。自分が先生になるなんて思ってもいなかったが、意外にも子供にアートを教えることは向いているようだった。大学に在籍したころも子供創作教室の講師をしていたし、家庭教師も担当した。東京に出てからは近所の子供アート教室の講師も担当していたが、こんなに日常の大部分を費やすのは初めてだった。ずっとアートの授業を受けてくれてた子供たちとは次第に深い絆というか愛情が芽生えてきた。毎回、その子たちのする表現や成長をみれることが心から嬉しかった。

そして2020年、コロナが大流行し、緊急事態宣言や様々なことを乗り越える中で、昨年、その学童保育が運営困難のため閉鎖することがわかった。その時はショックでもあったが割と受け入れていて、日に日に迫ってくる最後の日の当日まで、自分がこんなにこの場所を好きだったと気づかずにいた。

そして2021年3月31日、その日が最後の日だった。子供たちと一緒にお祭りをして、子供たちや上司にむけてメッセージカードを作り、それぞれアルバムにして渡したり、用意していたサプライズイベントなども行なって、その日は大成功した。

私は久しぶりの感覚に襲われて、涙が止まらなかった。最後の日は家に帰ってもそのことをずっと思い出していて、朝方に夢にアートの教子たちが出てきて、それぞれの家で私がまた絵を描いたり何か教えたりしていた。そして教えながらも自分が子供の頃、祖父や祖母に絵や工作を教わったことと記憶がリンクしていって、なんだかとても懐かしく嬉しい気持ちになった。目覚めたらまた号泣していた。その子たちとまた会いたい・・・。

号泣が落ち着いてからも喪失感に打ちひしがれていた私は、昨日もらったアルバムやお手紙を見返していた。子供たちがくれたメッセージのひとつに「また会えたらいいな。」という文章があった。「また会えたらいいな。か・・・。」私は今までの人生の中で何度様々な人たちに「また会えたらいいな。」と思ったことか。そんな言葉を小学校2年生のうちに誰かに届けられるなんてすごいなと思った。だって当たり前じゃないから。でも信じて、願っていたらきっと叶うだろうと思うようにもなった。ここ最近の話ではあるけど。そりゃ子供の頃はそう信じていたし疑いもしなかったけど大人になる過程で、自分が信じていたり、願ったりしてもその通りにならないことももちろんあって、その度に信じるのをやめようとか、期待することをやめようと思ってしまう時期はどうしても逃れられなかったし、これからもそんな風に落ち込むこともあると思う。正直昨年は本当に落ち込んでいた。でも、だからといって、全てが絶望ではない。夢や希望を捨てるなんてそれじゃやっぱりもったいない。できることから少しずつするしかない。

昨年の12月、私は所属していた芸能事務所を離れることにした。混沌とした世の中で、今自分が向き合わなきゃいけないこと、これからのことに集中するためだ。役者や映画を作ることはこれからも続けていくつもり。ただ映画を作る、物語を作ることに関しては今までの感覚では続けられないこともわかった。とても大きなエネルギーが必要だから。だから、自分が何に向かってエネルギーを使うのかを選択せざるを得ない。

自分の好きなことなんでもやりたい。本当はそう。でもこれからは自分の好きなことをより深くして、おもしろく育ててちゃんとやっていきたい。

話が長くなってしまったけど、これからも自分のピンとくることには集中して試みていくつもりだ。とにかく、私は子供たちが大好きだし、これからもたくさん関わっていきたいと思っている。その気持ちも含めて、だれでも観れる子供向けのアート工作動画を発信していくことにした。いつかまたあの子たちに会えるように・・・

「りょくちゃんとあそぼう」 https://www.youtube.com/watch?v=UautQToEHzY&t=7s

「りょくちゃんの遊び部屋」 https://www.steam-of-greentea.com/ryokumayuland


まずはこれが第一弾かな。

りょくまゆ


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